モビゾウ研究室

ツイッター(@Movizoo)で語りきれなかったこと

毒母ミーティング7 ご報告

今回、漫画家の田房永子先生から依頼され、「毒母ミーティング7『うちの母ってヘンですか?』発売記念」にてゲストとして登壇してきました。今回は前日にメディアに取り上げられたせいか過去最大の入場者数だったそうで、狭いハコが前から後ろまでびっしり。会場の一体感がすごくて、今まで参加したなかで一番「こりゃすげぇ」と思うミーティングでした。ちょっと喋りすぎたかな…と後から少し後悔もしましたが、本当に、会場のパワーに喋らされた!という感じでした。みなさん、あのミーティングを一歩出れば、また過酷な日常の中に帰っていくのだなあと思いながら、だからこそ、ミーティングでは沢山笑って、笑い飛ばして、少しでも「明日もまた頑張って生きていこう」という会になったのではないかと思います。本当に楽しかったです。ありがとうございました。

 

お話させて頂いた中でも私は強調したのですが、毒親についてにせよ発達障害にせよ、共感を得ることがとても困難な話です。当事者すら、自分の心を守るために共感を絶対的に拒否する人というのは多いのです。このミーティングについてメディアで取り上げられたときに、「毒親との絶縁を啓蒙するってどうなんだろ…」という言葉をツイッターで見つけました。そうか、この会は、絶縁を啓蒙する会という位置づけなのか…と私は愕然としましたが、毒親の話というのは共感など全くできない人のほうが多いのです。だから、分からない人、理解しようとしない世間には、「幸せな人」であるふりをして、自分を守ったほうが良いのです。自分の身を守るために、自分の苦しみは隠し続けたほうが良いのです。そして、共感して、自分を否定しない人たちが見つかったとき、初めて自分の苦しみを話してみれば良いのだと思います。

 

発達障害についてもそうでした。

 

私は息子が発達障害だと話すと、「親の育て方が」とか、あるいは「天才児じゃん!」とかいう言葉を沢山かけられてきました。息子が何が辛いのか分からず、ときには将来に絶望すらしているときに、「天才児じゃん!」という言葉の辛かったこと。「だったらあんたが育ててくれよ!!」と思わず叫びそうで、歯を食いしばって話を切り上げたときもありました。でもそれは、相手には全く悪気のないこと。私が何に傷つくなんて、経験していない人には決して知り得ないこと。理解を求めて理解されないことに怒りを感じるのは、他人からすれば困った人でしかないのだなと、私はそのとき理解したのでした。

 

「世間を手玉にとる力がつけば、親のことも手玉に取れる」と私はミーティングで話した記憶があります。これは実は、あのミーティングで一番言いたかったことでした。

 

自分の心を守るために、世間に対しては嘘をついて生きてください。幸せそうなふりをしてみてください。誰もあなたの嘘を見破れる人なんていません。所詮、人間なんてその程度しか他人に興味なんてありません。

 

人に共感を求めるときは、相手を選ぶこと、これがとても大切です。そして先日の毒母ミーティングのように、気持ちを共有できる人たちが一斉に集まったときの、ものすごいパワーと一体感。自分のなかでも、すごく充実感があります。「たどりつけた!」、そういう思いだと思います。

 

当事者同士で大笑いして笑い飛ばして、そしてみんなまた、過酷な日常に帰っていくんだと思います。でも、背負っているものが、ほんの少し軽くなっているはずです。

 

あの日毒母ミーティングにいらっしゃった方々、あるいは動画を視聴してくださった皆さんが少しでも荷物が軽くなって日常に帰っていけたら良いな、と思いながら、帰路につきました。